先週、初めてドイツ・ミュンヘンで開催された展示会「opti(オプティ)」に行ってきました。
ドイツらしい堅実で美しいフレームが多く、展示会の空気もどこか落ち着いていて新鮮でした。
昨年のイタリア・MIDO、フランス・シルモ、そしてバンコク、香港、日本の展示会……と、さまざまな国を回ってきましたが、国が変われば展示会の色も、ブランドの出方も本当に違います。
ほとんどの国に出るブランドもあれば、「今はここしか出ない」という頑固な工房もある。例年ではなく、たまたまその一回だけ現れる幻のようなブースもあります。
ネットを叩けば最新のデザインはすぐにわかります。でも、現地に行かないとわからない「潮流」が、そこには確かにありました。
「空気」を仕入れる旅
私が展示会で一番楽しみにしているのは、実は会場そのものより、現地の眼鏡店や街を歩く時間です。
ネットでいくら情報が手に入る時代になっても、世界はまだまだフラットにはなっていません。
街の空気の湿度
人の距離感や会話のテンポ
ディスプレイの色使い、扉の重さ、照明の色
眼鏡はただの「もの」ですが、そこには確かに「纏(まと)った雰囲気」があります。その雰囲気が、その国の文化と結びついて、一本のフレームに宿っている。
現地の空気は、現地でしか仕入れられません。だから、私はこれからも世界中の展示会に行こうと思います。大きなイベントだけでなく、どんなに小さな展示会であっても。
見て、聞いて、感じて、持ち帰る。
自分にとって旅は、最高の「仕入れ」の時間です。
新しいフレームを仕入れることも重要ですが、それ以上に、五感で感じたことが店の空気感や接客、お客様への提案にじわじわと生きてくる。こうした「凸凹(でこぼこ)」した生の情報こそが、誠眼鏡店の棚に新しい風を吹き込んでくれると信じています。
目指すのは「楽しさの寄せ鍋」
最近、ゲオホールディングス社長のインタビューで「楽しさの寄せ鍋であればいい」という言葉を読み、思わず膝を打ちました。
あまりに素朴な言葉ですが、これほど本質を突いた言葉もありません。銀座で17年、眼鏡一筋でやってきましたが、私もこの店をそんな場所にしたいと思っています。
ファッションとしての楽しさ
自分を少し変える面白さ
店主とのどうでもいい雑談
これらがごちゃ混ぜになって、結果として「ここに来ると、なんかいいな」と思ってもらえる場所。
統一感なんてなくていい。戦略的じゃなくていい。
大切なのは、温かくて、人が集まれて、何かが生まれる余地があること。
誠眼鏡店が並べたいのは、その人の人生に光沢を与える「ツヤ」そのものです。
雑多で楽しい
雑多で、温かくて、楽しい。
眼鏡という具材を中心に、いろんなものを静かに煮込んでいく。
「この眼鏡が、誰の毎日をどんなふうに変えるか」
その想像を膨らませながら、街も、路地も、店も。自分の目で見て、誠眼鏡店の「循環」の中に、最高の鮮度で持ち帰りたい。
時間をかけた分だけ、きっといい味が出る。
これからも世界中の空気を感じながら、皆さんの視界を、そして人生を少しだけ明るくできるような、そんな商売を続けていけたら幸せです。
誠眼鏡店 誠
追伸:
イタリア、フランス、ドイツ、香港……世界4大展示会の違いや、旅の裏話に興味がある方は、ぜひお店でゆっくりお話ししましょう(笑)
2026/01/27

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