ありがたいことに、新宿と銀座で約15年間、「誠眼鏡店」というメガネ店を営ませてもらっています。日々お客様と接する中で、メガネのトレンドや文化について考える機会が多々あります。
例えば、SNSの普及によって、メガネのトレンドがどんどん似通っていく様子を目にします。これは他の業界でも同じことが起きています。たとえば、カフェ業界。世界中のカフェオーナーやバリスタがSNSでつながり、アルゴリズムによるレコメンデーションを通じて、同じようなインテリアやメニューを取り入れていきます。あるオーナーの個人的な好みが他のオーナーにも影響を与え、気づけば多くの店舗が似た雰囲気になっていく。このように、今は文化的同質性がとても生まれやすい時代です。
メガネも同様です。一度流行が始まると、多くの店舗で似たようなフレームが並びます。そのため、わざわざ異国の地方に足を運んで眼鏡店を訪れても、似たようなメガネばかりが並んでいるということも珍しくありません。もちろん、それ自体が悪いわけではありません。トレンドにはそれだけの魅力があり、実際に多くのお客様のニーズに応えるものでもあります。
もちろん、当店もそういった魅力的なメガネを揃えられるように努めています。ただ、誠眼鏡店としては「他の店舗では見つからないような商品」を扱うことにも、こだわりたいと考えています。流行を意識しながらも独自性を追求し、「ここでしか出会えない一本」もお客様に楽しんでいただける場所でありたい。
例えば、ヴィンテージフレームや独創的なデザインのフレーム。「いったい、いつ使うの??」というような個性や魅力が光る商品。メガネは単なる視力補助の道具ではなく、自己表現の一部。だからこそ、実際にその商品を購入するかどうかは別として、お店では「自分らしさ」を感じられる一本を味わっていただきたいと思っています。
流行を追うことが悪いわけではまったくありません。ただ、最終的に大切なのは「自分がどう感じるか」ではないかと思います。
- 「このメガネ、他の人と違うけど、なんだか気に入った」
- 「これをかけるとちょっと自信が持てる」
そう思えるメガネこそが、その人にとっての「似合うメガネ」だと思います。他人の評価を気にしすぎず、自分が納得できる選択をすることで、自分らしさを少しでも見つけるきっかけになったら嬉しいです。
SNSやアルゴリズムによって生まれる文化的同質性は、時代の流れの中で避けられない部分です。ただ、その中でも「自分だけの個性」を大切にする選択肢を提供できたら素敵だなと思います。
「他のお店では見たことがない」「これが私らしい」と感じられるメガネ。みなさまにとってそんな特別な一本を見つけるお手伝いができれば、メガネをより自由に楽しめるように、そしてかけている自分が気分が上がるような、そんなメガネ選びのお手伝いができれば、それが何よりの喜びです。
makoto
2025/01/06